課題の教科書

Critical Realism for All Leader

社会人基礎力を磨くための留意点を学生の習慣と社会人の常識の比較で考えた

こんにちは。ポエタです。

新社会人になると、学生気分は一気に吹き飛ぶでしょう。

しかし、学生の習慣はすぐには抜けきりません。

社会人の基礎力は奥が深いテーマですが、学生の習慣と社会人の常識の相違点を比較してみると、だんだん近づく実感があります。

今回のコラムの目次です。

1 はじめに

学校を出て社会人になると、緊張の日々が待っています。慣れない仕事をまかされ、かなり年の離れた上役からチェックを受けることもあります。ストレスを跳ね返そうとして自分なりの主張をしても、簡単に打ち負かされます。

「学生気分」という言葉があります。学生としての気分は、就職して数週間もすれば消え去るのが普通だと思います。しかし、学生の「習慣」は、数ヶ月いや数年以上続くこともあるのではないか。案外多くの社会人が、学生としての習慣を継続しているかもしれません。

学生としての習慣と社会人の常識には、大きな相違点があります。この相違点を克服することが、社会人として成長するための基礎力を身につけるための鍵ではないか。

相違点は数え上げたらきりがないですが、例示した上で、社会人の基礎力を磨くための留意点を整理しました。

 

2 学生の習慣と社会人の常識との相違点(例)

(1)人間関係

人にもよりますが、学生時代の人間関係は、社会人と比べて淡白です。大学・学校では、好きな友人知人とだけ交わる自由が尊重される環境にあります。また、知り合いに対して必要以上に干渉することもあまりないと思います。

社会人になると、人間関係は濃密になります。苦手なタイプの人とも一緒に仕事をしなければなりません。仕事中はもちろんのこと、プライベートでも食事や飲酒を共にし、上役や先輩の話に耳を傾ける時間も増えるでしょう。

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私的な時間での交友を断ることもできます。しかし、そう簡単に断ってよいのか、という葛藤を内心抱えることまでは、おそらく避けることはできないでしょう。誘いをかけて断られた上役との関係が、ぎくしゃくする可能性は捨てきれないからです。

(2)問題意識

学生は、試験では問題を出されます。学生は問題を解くことが求められます。多くの場合、学生は知識を習得し、解決法を当てはめ、答えを出そうとします。

社会人は、問題を解決する点では学生とほぼ同じです。しかし、いきなり解決法を当てはめることはほとんどしません。解決法を当てはめて解決できる問題は、すでに誰かが解いた問題でしょう。すでに解決済みだから、先生の講義を通して問題と解決法がセットで伝授されたわけです。

社会人として解決すべき問題は、未だ未解決の問題が大半です。解決法を当てはめようとしても、何が解決策なのかもわからない状態にあったりします。そこで、社会人は、未解決の問題を解決するために、まず「課題」を明らかにします。

学生が問われる問題は知識の次元で解決します。一方、社会人が向き合う問題は、取り組みによって解決します。何に取り組むことで問題を解決するのかを見極めるのが、課題を考え出すことです。

課題とは取り組みですから、仕事そのものです。未解決の問題を解決するために、課題を考えることが、仕事を生み出す源流です。社会人は、自ら仕事を生み出す姿勢を求められます。なおかつ、社会人は、問題を知識によってではなく、じかに取り組むことで最終的に解決します。

(3)論理性

学生が論文試験で書く答案は、言葉として論理的である必要があります。論理的である限り抽象概念を用いることは、ほとんど禁止されません。

一方、社会人は、多くの場合、具体性を伴う説明が求められます。議論する上では、目に見えて手で触れられる事象を言葉として並べることが尊ばれます。抽象的な言葉が登場することも、もちろんありますが、一般社会もしくはその会社で市民権を得た言葉を使わないと、議論が宙に浮いてやりにくくなります。

社会には、学生時代に学んだ専門領域の異なる人が入り混じっています。自分の専門分野では当たり前の抽象概念でも、他の人には理解されないことはよくあります。そういう概念を用いることは、道義的に悪いことではないですが、仕事がしづらくなるかもしれません。

また、ある程度市民権を得た概念であっても、抽象概念を会話で連発すると、自分で思考せず、他人の思考で間に合わせようとしているシグナルとして解釈される場合があります。

特に、日本における学問上の抽象概念は、歴史的に学者が様々な検討を経て錬成させた固有の意味を含んでいます。固有の意味に含まれる論理構造を説明しようとすると、一冊本が書けるぐらいの概念もあるでしょう。その学問的な固有の意味の内容を十分に理解しないまま、抽象概念を使用する人もいなくはない。ですから、一般社会では、安易に抽象概念を使っていると、自分で言葉の内容を考えずに、他人の考えを借りているのではないか、と疑問をもたれる可能性があります。

実社会で社会人が、抽象概念を用いて説明する際は、平易な日本語とわかりやすいロジックで言い直すことが求められるかもしれません(学界は除いて考えます)。

(4)存在意義

大学・学校において、学問は真理を求めるための営みです。本来、学問にとって、役に立つかどうかは二義的な問題です。しかし、一般社会では、誰かにとって役に立つことを求められます。学生と社会人とでは、所属する社会の存在意義が異なります。このことが、学生としての習慣が必ずしも社会人の常識と合致しない背景にあると思われます。

学生は、いわば知的好奇心にしたがって物事の成り立ちを理解できればよい。社会人は、未解決の問題を、取り組みとして解決するから、それを仕事にすることができます。社会人にとって、学問的成果が手段となることはあっても、真理探求が目的になることは、ほとんどないでしょう。学問と仕事はどちらも社会に必要な役割ですが、存在意義が全く異なります。

新卒社員は、学問と仕事が接し合う急斜面を駆け上るような意識転換を要求されます。そこに新社会人の抱えるプレッシャーの背景があるわけです。

(5)問題との向き合い方

学生は、問題解決を求められると、頭脳で解決しようとするでしょう。妙案を探そうとします。社会人も妙案をもつ人は多いでしょう。しかし、妙案に頼っても妙案が出なければ、どうしようもありません。ですから、社会人は、妙案がなくても、まず取り組む必要があります。

社会人には「目の前の小道に入れば、いずれは大通りに出られるだろう」という根拠のない構え方が大切ではないか、と思います。抜本的とは言えない課題でも、まず取り組んでみる。解決策に目星がついていなくても、まず取り組んでみる。妙案が浮かばないからと言って、渋面して考えこむのではなく、楽天的に取り組んでみる。

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取り組んでみると、取り組む前には見つけられなかったヒントに出会うことは、よくあります。そして、大体の場合、大通りにたどりつくのは、時間の問題だったりします。社会人には、前向きな姿勢が求められるでしょう。

 

3 社会人としての基礎力を磨くための留意点

(1)自尊心の所在

学生の習慣を前提に置くと、問題は頭脳で解決するものですから、知性が自尊心の源になる場合も多いでしょう。そのせいか、「知っているかどうか」「答えられるかどうか」に対するこだわりが強くなりがちです。

また、実社会に身を置けば、学生的な習慣がほとんど評価されないことは、たいがいわかります。その時「学生の習慣を守りたい」あるいは「自分の学生的な習慣を知られたくない」と思うのが人情です。

「学生の習慣を守りたい」のなら、臆せず学生の習慣を仕事相手に主張する必要があります。それを先輩や上役から根拠をもって否定されたら、その時、あなたは変わるでしょう。

あるいは「自分の学生的な習慣を知られたくない」のなら、学生的な習慣では仕事をしなくなります。その時、あなたは意欲的に社会人としての常識を備え、社会人の基礎力を身につけようとするでしょう。

(2)人間関係は仕事のベース

仕事で論理に裏打ちされた構想をもてば、意を強くすることができます。しかし構想を実現するためには、人が動かなければなりません。その際、人間関係はとても重要な手がかりです。

「どういう人とつながりがあるか」は、あなたの抱える仕事や課題と全くの無関係であるとは限りません。一見、偶然で出来上がったかに見える人間関係は、あなたの成長の痕跡かもしれません。そして、今取り組んでいる課題(仕事)を前に進めるヒントも、培った人間関係に含まれているかもしれません。

論理的にそうだ、と言える根拠はありません。しかし、「人間関係は仕事を前に進めるための重要な手がかりである」のは世の中の共通認識ではないかと思います。

(3)小道を歩くと大通りに出られる

先ほども述べたことですが、道に迷ったらとにかくどんどん歩いてみてはどうでしょうか。いつか大通りに出られます。最善を求める意識は根強いものがあります。しかし、何が最善かが現にわからないなら、今よりよくなればよいのではないでしょうか。大通りに出れば、自分がどこら辺にいるかがよくわかります。そして、次に向かう方向性も見えてくるのではないでしょうか。

 

4 最後に

(1)学生の習慣は「伸びしろ」

もし、あなたが学生の習慣を身に帯びた社会人であるなら、気に病む必要はありません。なぜなら、それがあなたの「伸びしろ」だからです。

社会人としての成長は、必ずしも高度なスキルを身につけることだけではないと思います。社会人として当たり前のこと、つまり基礎力を身につけただけで、かなり頼もしい人材になれます。

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というのも、専門的で高度なスキルを身につけた人は、基礎力の応用でスキル開発した場合が多いように思われます。基礎力を応用するためのコツは、基礎力の中身を言葉で説明できるまで理解することです。基礎力のなんたるかがわからなければ、応用は難しいです。それを本能的にできる人は、ごくわずかでしょう。

ポエタは、学生としての習慣と社会人の常識を比較することが、基礎力の中身を理解するきっかけになるのではないかと考えます。今回は、基礎力の中身までは説明しませんでした。一度、あるいは何度でも棚卸しするとよいかもしれませんね。

(2)まとめ

  • 学生は社会人になると存在意義の急激な転換を求められるから大変。
  • 新社会人になると、学生の習慣を主張するか、社会人の常識を習得するかのどちらか。
  • 自分が学生の習慣を維持しているなら、それが社会人として成長する「伸びしろ」。
  • 学生の習慣と社会人の常識を比較すると、社会人の基礎力がだんだん見えてくる。

ポエタ

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