課題の教科書

Critical Realism for All Leader

リアリズムを帯びた課題を決定づける「問いかける人」について考えた

こんにちは。ポエタです。

これまで事例編では歴史上の人物の発揮したリアリズムを批評してきました。

今回は、Critical Realism(批評としての現実主義)の中核テーマである「問い」について考察します。

問いを自分のものにする。

思想面のリアリズムの持ち方を探求します。

目次です。 

1 はじめに

このブログでは、主に課題に関する世の中の事例と、ポエタの課題設定の実践例を紹介することを中心に据えています。その元々の問題意識は、リアリズムとは何かを明らかにし、リアリズムを備えた取り組みを応援することでした。ではリアリズムとは何でしょうか。

「問いを自分のものにした時現実がやってくる」

ポエタは、この言葉にリアリズムの真相が表れていると考えています。しかし、この言葉の意味を十分に考察してきたとは思いません。

今回の記事では、この言葉の意味を深掘りし、リアリズムを帯びた課題を「問いかける人」について考えたいと思います。

 

2 問いを自分のものにするとき現実がやってくる

(1)問いをもつ

「問いをもつ」ことは、普段何気なくあります。たとえば、小説を読みながら、「主人公がこう思った理由はなんだろうか」「なぜこの人はこの場面でこんな行動をとったのだろうか」と普通に問いをもつことです。

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その問い自体はシンプルで、なんら複雑な構造をもちません。問いをもつこと自体は何ら価値を生みません。

そして、問いをもつこと自体は実に素朴です。小説を読みながら、どの読者も同じような問いをもつでしょう。そして、その問い自体には、明確な狙いはありません。ただ、そう思ったというレベルのものです。

ある小説を読んでいて、こんなくだりがありました。

 

「小説家とは問題を解決する人間ではない。問題を提起する人間である」と言ったのはたしかチェーホフだ。

村上春樹1Q84 BOOK1』新潮社、2009年、P.472)

 

小説の中で起きていることは、読者の問いを誘発する出来事です。しかし、私だけかもしれませんが、単に小説のシナリオを読んでいく限り、素朴に思いつく問いには、特段の狙いまでは備わっていないように思います。

<問いをもつ>

  • シンプル
  • 素朴
  • 狙いは不明瞭

(2)問いを自分のものにする

では、次に「問いを自分のものにする」とはどういう意味でしょうか。問いの狙いが明確なとき、問いは自分のものになります。たとえば、投資のポリシーを論じた次の記事が例として挙げられます。

堅実な株式投資でまず先に決めなければならないことを考えた - 課題の教科書

投資判断をする前に、先決事項があります。先決事項を決めておかなければ、投資の検討が宙に浮いてしまいます。狙いをもって自分に問わなければならない事項が、存在するわけです。

働き方改革でも、自分の稼ぎの目標や何をしたいのか、という問いに答えなければ、課題は明らかになりません。このことを次の記事で述べました。

迷惑をかけず自分ひとりでできる働き方改革の課題って何か考えた - 課題の教科書

的確な問いを自分に向けることで、取り組みの現実がにわかに浮き上がってくるのではないでしょうか。

問いを「自分のものにする」のは、自分に意思を決めさせることです。意思決定する時、自分の進むべき方向が決するスリルが伴います。この緊張感こそが、「現実がやってくる」時の心境です。

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<問いを自分のものにする>

  • 狙いが明確
  • 意思決定する
  • 課題を決する緊張感がある

しかし、独力で問いを自分のものにするのは、かなり難しいのではないでしょうか。問いを自分のものにするのには、何かきっかけが必要です。

 

3 問いかける人

(1)他人との関係

そのきっかけは、他人です。相手の幸福を手助けしたいという動機を備えた他人が、相手に「問いかける」ことです。問いかけられた当人は、自分の意思を決める必要に迫られるでしょう。他人には、意思決定を促す存在感があります。

「問いかける」ことは、他人との関係でしか成立しませんから、「問いをもつ」のような孤独な領域ではありません。

(2)問いかける人になるには

しかし、ただ単に問いかけるだけでは、相手が問いを自分のものにすることはできません。ただ質問しても、答えて終わりのパターンです。何の価値も生まれません。「問いかける人」が、問いかける相手にリアリズムを着こなしてもらうためには、どんな価値を備える必要があるでしょうか。

①相手の目線で課題を考える

単に大所高所から相手に意思確認を迫っても、価値は生まれません。単に質問するだけになってしまいます。

相手が立っている場所の傾きや見える景色、身近な物事との距離感などを頭に入れて、何が問題になっているかを想像することが必要です。相手の課題は、相手の目線でしか見えてきません。

相手の課題を考えることで、課題が浮き彫りになる所と、ぼやける所が両方出てきます。すると、課題が刷り込まれた素地の表面に、ロジックが葉紋のように浮かび上がってくるでしょう。こうなれば、相手に問いかける準備が整い始めます。

②意思決定事項を見極める

ロジックの葉紋が明確になれば、課題がぼやけている部分を明瞭にするために、当人が何を決めなければならないか、が見えてきます。

当人がどういう意思を持つかによって、課題は異なります。課題を決めるのは当人です。しかし、案外当人は何が意思決定事項なのかを知らずにいます。そういう人のために、意思決定事項を見極めるロジックを明らかにすることは、大いに価値あることでしょう。

③狙いをもって問いかける

意思決定すべきことを決めてもらうために、「問いかける」必要があります。段取りを踏む場合もあれば、単刀直入に問いかける場合もあるでしょう。いずれにしろ、狙いをもって問いかける必要があります。

狙いをもつためには、相手の目線を想像し、ロジックが頭に入っていなくてはいけません。狙いのある問いかけには、迫力があります。ただ聞くだけの質問ではありませんし、問い質す時のような柄の悪さも感じさせないでしょう。何より、相手のことをよく考えている人だけが身に帯びる品格が備わるのではないでしょうか。

 

4 最後に

(1)対話こそが課題形成

「問いかける人」になるには、多くの経験と紆余曲折が必要ではないかと思います。普段から、次のようなことに精を出す必要があると思います。

  • 事実関係を整理する
  • 論理的な組み立てを思考する
  • 相手の目線で“高き”にも“低き”にも思い巡らす

こういうことを、習慣化できると、的確な問いを見つけることができるでしょう。

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そして対話で「問いかける」と、資料作りに励む必要が出たり、自分の想定の誤りに気付いたり、もち帰ったり、やり直したり、その場で変な決まり方もするかもしれません。

「問いかける」のは、真の意味でのコミュニケーション力をつけることだと思います。その道のりは、きっと長く険しいものになるのではないでしょうか。しかし、「問いかける人」には、それだけの価値があると思います。

(2)まとめ

  • リアリズムとは、問いに答える時に課題を決する緊張感。
  • 問いを自分のものにするには、問いかける人の存在が必要。
  • 問いかけるには、“目線”“意思決定事項”“狙いのある問いかけ”がポイント。
  • 問いかける人は、対話を活かした課題形成ができる人。

ポエタ

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