課題の教科書

Critical Realism for All Leader

働き方改革に潜む不条理が生む競争の激化とその末路を考えた

こんにちは。ポエタです。

今回はコラムです。

目次です。 

1 はじめに

働き方改革。新しいテーマの登場は、私生活を充実したい多くの若手にとって、朗報でしょうか? 働き方改革には、多くの不条理が潜んでいます。そのことを理解せずに、働き方改革に取り組むことにはリスクが伴います。その一方で、働き方改革の難しさを痛感するあまり、働き方改革に及び腰になったら、いずれ厳しい末路が待っているのではないか。

今回の記事では、サービス業を念頭に、働き方改革に潜む不条理を考えたいと思います。

 

2 働き方改革に潜む不条理

(1)いきなりスタープレーヤーは無理

少し前に、こんな記事を書きました。

サービス業の働き方改革で生産性向上の課題はインプットの質向上だった - 課題の教科書

要するに、サービス業においては、インプットとアウトプットを同時に行う高度人材こそが、働き方改革が理想とする人材像です。お客様を相手に、お話を伺って、すぐさま高品質なサービスを提供する。こういうスタープレーヤーの生産性は極めて高い。そして、業務時間を削減する余地が高まるでしょう。

しかし、このようなスタープレーヤーが、どこにでもたくさんいるわけではないと思います。一回、顧客から話を聞いて、どこかで時間をかけてサービス内容を検討し、上司に報告し、承認を得て、準備してからサービスを提供する。多分、そういう動きを取るのが多いのではないか。

ですから、スタープレーヤーに成長するのは簡単ではないと思います。働き方改革に取り組んで、いきなりスタープレーヤーにはなれません。スタープレーヤーに育てるための施策は、正直言って簡単に言えません。

(2)途中はブラック化も

おそらく、スタープレーヤーになるためには、途中段階で相当厳しい経験を積まなければならないでしょう。時間をかけて準備検討し、サービス提供に失敗し、怒られ、悔しい思いをして、やっと成長するパターンです。インプットとアウトプットを同時に行うスキルは、それくらいレベルが高いと思います。

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それで次第に生産性が上がるようになっても、余力の中で業務時間を削減した分、その空いた時間に新しい仕事をぶち込むことで、スキル向上の機会をどんどん増やす必要があります。そうしないと必要なレベルまでスキルが上がらないからです。

つまり、スタープレーヤーに育つまでの途中段階は、けっこうブラックな状況になる可能性が相当高いと思います。

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(3)二極化の二つの意味

世の中のサービス業界で、スタープレーヤーを目指す働き方改革が進んだ結果、どうなるでしょうか。世の中は二極化が進むと思います。

スタープレーヤーになれた人材は成功者です。業務負荷を上手にコントロールしながら、最高のサービスを提供します。一方で、スタープレーヤーになれなかった人材は、なるために、ずっと中途の段階にいますから、ブラックな就労状態にとどまる可能性があります。水面下で人材の就労状態の二極化が進むかもしれません。

二極化にはもう一つの意味があります。会社の二極化です。スタープレーヤーを次々生み出した会社は、世の中で成功企業と認識され、優秀な若手人材を次々吸引するでしょう。しかし、スタープレーヤーに乏しい会社は、職場の活気が低下し、若手人材からそっぽを向かれる状態になるかもしれません。

(4)会社と人材との間のすれ違い

働き方改革は、途中のブラック化も辞さない覚悟で取り組むと大変です。全ての会社がブラック化はしないかもしれませんが、要するに、働き方改革は一筋縄ではいかない取り組みです。会社の役員クラスは、そのことを当然のごとく理解するでしょう。そのためか、働き方改革に消極的な会社はまだ一定数存在することでしょう。

一方で、働き方の現実を十分に知らない新卒や若手人材は、働き方改革に中途半端な望みをかけてしまう恐れがあります。会社の思惑と若手の希望との間でミスマッチが起きること、そのこと自体が、会社のマネジメントにとって問題の温床になりかねません。

なぜ働き方改革に取り組まないのか、あるいは働き方改革の課題は何なのかを、マネジメントが明確に方針として打ち出さないと、困ったことになるリスクがあります。

 

3 待っているのは競争の激化

(1)売り手になるのは新卒のみか

労働力人材と働き方改革の機運は、働き手にとって朗報のように思われているかもしれません。しかし、実際には全ての働き手にとって朗報であるとは限らないと思います。

新卒で入社する社員は、これから育つ人材です。ですから、スタープレーヤーになるステップをこれから踏めばよい。しかし、今は労働力不足とは言われていますが、今後働き方改革が進み、どんどん現場の生産性が上がると仮定すると、やはり企業側は、人材を選別できる状態になります。企業は、生産性の高い人材の方を優先的に採用しますから、全ての働き手に恩恵がめぐってくるとは限らないと思います。

(2)中堅・ベテランは“役員級”の現場業務を競い合う

会社の役員クラスは、考えてみれば、極めて生産性の高い人たちです。おそらく、役員は分厚い資料を持ち歩いたりしません。部下の報告を聞きながら、資料に目を通したら、コメントを言った後、資料を返したりするようです。役員は基本的に準備も作業もしない、極めて生産性の高い人たちです。

賛否両論ある見方かもしれませんが、サービス業のスタープレーヤーは、この役員級の仕事ぶりと似たところがあります。極端に言えば、顧客に面と向かうその場で、情報を処理して、すぐアウトプットして終わりです。それ以外の時間は、プライベートの時間に研鑽を積むだけです。

働き方改革は、かつてなかったような未曾有の改革になる可能性があります。役員と現場のプレーヤーの生産性が、高度に釣り合うという未曾有の事態です。改革の結果、現場の責任・権限が増す状態になる可能性もあります。

(3)働き方改革に取り組まなかった場合の末路

働き方改革に取り組まなかった会社は、結果的に若手に見捨てられるリスクを背負うことになります。

一方で、スタープレーヤーに育たなかった人材は、会社の選別の対象になるリスクがあります。働き方改革で、インプット時間に制約が課されると、十分なアウトプットが出せないからです。

 

4 最後に

(1)大事なのはコミュニケーション

メディアが働き方改革をテーマとして積極的に取り上げ機運を盛り上げています。しかし、世の中の動きに迎合することが経営判断ではありません。働き方改革に否定的な考えを持っている人は、結構多いと思います。

働き方改革に、様々な年層の人材が、様々な立場で、異なる狙いを見つけている現状は、少しリスキーです。これが働き方改革の不条理です。経営層が、若手の中途半端な希望を意に介さない姿勢を取ることに力点を置いた結果、生産性向上が後回しになって、若手人材から敬遠されたら、会社の成長にブレーキがかかるでしょう。

また、若手人材も、スタープレーヤーを賛美しつつ、その過程でブラックに近い就労状態を経なければならない危険な現実を無視して、世の中の機運に迎合するだけでは、実を得ることは難しいと思います。

ですので、働き方改革は要注意のテーマです。「働き方改革」と口にした瞬間、異なる狙いをこめる異なる勢力が群生するでしょう。個別の狙いを独自に定め、育成や生産性向上の観点で取り組むべきではないでしょうか。

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働き方改革は、やるかやらないか以前に、狙いや考え方の目線合わせに力を入れることが先決だと思います。働き方改革が禁句になっている職場もあるかもしれませんが、そういうコミュニケーションを積極的にとる必要があります。働き方改革の不条理を避ける必要があるからです。

(2)まとめ

働き方改革の美名の裏には不条理が潜む。

働き方改革は新たな競争の激化を生む。

働き方改革には各企業個別の狙いと社内の目線合わせが先決。

ポエタ

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