課題の教科書

Critical Realism for All Leader

ゼミの志望理由は進路選択の視点でこう考えればよかった|課題の揺籃期

こんにちは。ポエタです。

今回はコラムです。

目次です。

1 はじめに

ポエタの大学時代のゼミ生活は低調でした。法律系のゼミでしたが、そんなに研究がはかどったとは言えず、一応ゼミ生としての義務は果たしたつもりでしたが、前向きに活動方法を工夫して、その後の社会人生活で自慢できることをやったわけではありませんでした。

ゼミ活動に旺盛ではなかったポエタですが、今思うと、ゼミ活動は卒業すれば全て終わり、で済むものではありませんでした。ゼミ生時代に始まる、諸活動→就職活動→卒論→卒業→入社、というプロセスを経る中で、ゼミ活動は進路を決定づけたと思います。

その意味で、ゼミ選びは重要な起点だったと思います。あの時、その後のキャリアは、ほとんど方向付けられたのではないか、とも思います。

大学を卒業して十何年以上経ってみると、ゼミ選びで後悔しないためには、どのゼミ、と思い込まずに、幅広い着眼で志望先を考えることが重要だと思うようになりました。

また、ゼミは一つの組織です。ゼミでの活動経験は、いずれ正面から向かわなければならない自分の課題を見出すための、混沌とした揺籃期だったと思います。

今回の記事では、今だからわかるゼミ選びの着眼、志望理由の観点、ゼミ活動の意義について語ります。

 

2 なぜ大学生のゼミ選択は重要か

(1)学生生活の軸を決定する

ゼミ活動では、週次の課題、発表、合宿、卒論、会食、OB交流などに多くの時間を割きます。ポエタは、なるべく負担の少ないゼミにしたいという下心をもっていましたが、入ると結構大変でした。

おそらく、ゼミによって程度の差はありますが、どんなゼミにしろ、一定程度の時間を割くことに変わりないのではないでしょうか。だったら、本当に入りたいと思えるゼミに入ったほうが良い。そう思います。

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ゼミには一定の時間、拘束されることになります。それは、つまり、ゼミ活動が学生生活の軸になることを意味します。将来、就職活動や院試に臨む上で、ゼミ活動を説明する機会は増えるでしょう。その時、やる気の出ないゼミ活動をPRする文句をひねり出すのは、結構骨が折れます。本気で入りたいゼミを選ぶことは、遠い先を見据えても、とても重要です。

(2)人脈の淵源になる

一定時間拘束されるということは、人間関係も密になります。できあがった友人・知人との仲は、学生生活のみならず社会人生活でも続くでしょう。

ゼミ生は、それぞれ違った進路を歩みます。大学院に進む人、企業に行く人、官公庁に入る人、資格を取る人など。卒業後に会うと、自分の進路先では聞けない経験を聞くことができます。

(3)自分の出身・看板の一部になる

多くの場合、ゼミ生活の中で、研究テーマが定まってきます。大学院に進む上で、どのゼミを選ぶかはとても重要です。

企業に就職するにしても、企業から評価されるゼミがあったりします。会社に就職すると、「自分はどこどこ(何々先生)ゼミだった」、とさりげなく自己紹介する人もいます。

就職先によっては、だいたい卒業大学が似通ってくる場合があります。その場合、ゼミの活動を聞かれて、個性の背景事実を確認する傾向もあるようです。

 

3 ゼミ選びの着眼

(1)専門領域(科目)

まず、何を学びたいか、専門領域はとても重要ですね。興味をもてるかどうかですから。

ですが、なぜその専門領域なのか。実は先生の授業が面白かったからかもしれません。

その場合、専門領域で選んだわけではなくなります。一度、虚心に、なぜその専門領域なのか、考え直す必要があります。

つまり専門領域自体に関心を持つ理由です。過去を振り返るだけでなく、新たに、その専門領域の論文を読み直してもよいかもしれません。あるいは、全く別の領域の論文を、読んでみてもよいかもしれません。食わず嫌いは、よくある話ですから。

その専門領域を選ぶには、まずあなたが何をやりたいかです。そして、どんな狙いで(意思を込めて)やりたいかです。そのための一つの手段として、その専門領域を位置付けることができると、厚みのある志望理由が育ったことになります。広い視野をもつことが重要です。

(2)教授

ゼミ活動は、本来、教授と学生との間の対話が主になります。一方通行の講義とは違います。ゼミで研究することの意義は、教授の指導を直接受けられることです。その点、教授と学生との間に人間関係ができ上がります。

志望するゼミの教授が、どんな経歴の持ち主か。どんな博士論文を書いた人か。どんな研究論文で学界に注目されたか。あるいは、学外での活動、肩書きなど。リサーチすべきことは、たくさんあります。

教授の人物像を把握した上で、「この先生に直接教えを請いたい」と率直に思えるかどうかが重要です。ゼミの志望理由の提出は、対人間のコミュニケーションです。

(3)院生

院生を見れば、その教授がどんな人材を評価するか。研究をどんな方向性にもっていこうとしているか。大体の推定を働かせることができます。

また、少なからず、院生がゼミの活動に入り込むことはよくあることです。教授の片腕的な院生が、教授に代わって指導することもあるでしょう。院生は陰に陽に影響力を行使します。

院生の人物像というのは、ゼミ生活の方向性を左右する、隠れた要素だという気がします。

ゼミを選ぶ前に、院生にゼミの活動内容を聞きに行く手もあります。サークル活動の先輩のルートを辿るとか、邪魔にならない程度に教授の部屋に行って、質問がてら紹介してもらうとか、方法は色々考えられます。

(4)OB

OBは、そのゼミ生の進路、就職先を把握する上で重要な要素です。ゼミに入ったからといって、進路が確定するわけではありませんが、複数のゼミのOBを比較することで、大体の傾向は把握できるかもしれません。

(5)卒論

ゼミを選ぶ段階で、卒論を視野に入れている人は少ないでしょう。ただ、卒論の仮のテーマを置いたときに、そのゼミで生き生きと活動する自分を想像できるかは、結構重要な着眼だと思います。

ゼミは、受け身だと辛いです。たとえゆるいゼミでも辛く感じると思います。「自分は、こういうことを研究して、こういう卒論を書きたい」という動機が最初からあると、ゼミ活動を研究活動のベースとして、研究実績を積み上げ、やりがいを感じることができます。

卒論 の検索結果 - 課題の教科書

(6)進路

自分の進路は考えましたか? 進路は、とりあえずゼミに入って、先が見え始めてから考えるという人は多いでしょう。ですが、学生時代から、将来の構想とそれに向けた進め方をもっていると、局面の判断に軸をもつことができます。

「自分は、将来この道に進みたい」「だから、こういう考え方でこのゼミを志望した」こういう志望理由は、説得力があると思います。

(7)課題

ゼミでは、たいてい教授から課題を出されます。課題への取り組みがゼミ活動のベースになります。そのゼミで、いつもどんな課題が出るのかは、把握した方がよいでしょう。

課題によって、教授の運営方針、研究の考え方、ゼミ活動の負荷状況など、推定を働かせることができます。

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(8)係

ゼミの運営には、たいてい役割分担があります。ゼミ運営にどんな係があるかは、把握しておいた方がよいでしょう。

 

4 志望理由の観点

このような着眼で志望するゼミが絞り込まれたら、必ずしも、全部書き込めるものではないでしょうが、次のような観点で、志望理由をまとめることができるのではないでしょうか。

(1)理由の3軸

  • なぜ(論理)

    端的に論理的理由を述べます。

    「◯◯ゼミを志望します。なぜなら・・・だからです。」

    志望理由を教授に理解してもらうためです。

  • どのようにして(事実経緯)

    ゼミを志望するに至った経緯です。

    そう考えるに至った事実、体験を述べます。

    教授に共感してもらうためです。

  • 何のために(目的意識)

    ゼミ活動によって、将来何を実現したいか、です。

    教授に、自分の意欲を伝えるためです。

(2)教授に何を学び、何に取り組みたいか

「何を学びたいか」は、専門領域(+テーマ)です。専門領域だけでなく、「具体的にこういうテーマに関心がある」と志望理由は明確になります。しかし、教授が重きを置かないテーマを強調するのはリスクがあります。書くなら相当の主体性が求められるでしょう。

「何に取り組みたいか」は、ゼミの研究を進める上で希望する活動事項です。「このテーマで論理的思考力を鍛えるために、発表活動とディスカッションに注力したい」などです。しかし、あまり決め打ちで書きすぎると、教授の運営方針と合わない恐れもあるので、気をつけてください。

(3)ゼミ活動における役割意識をどうもつか

ゼミは組織です。組織を運営する上で役割分担は必須です。ゼミは教授が一人で切り盛りするものではありません。ゼミ生の主体的な運営が求められます。役割分担に関する意思を明確にもつ必要があるでしょう。

(4)卒業後にゼミで得た学識、経験をどう活かしたいか

ゼミ生の多くは、その後社会人として巣立っていきます。教授は研究者であると同時に、教育者です。自分がどんな人材に育ちたいか。ゼミを出た後に、どのように経験を活かしたいか。将来の目線をもって志望することは大切でしょう。

 

5 最後に

(1)ゼミに入らない選択肢の現実味

ゼミでやりたいことが見つからないなら、ゼミには入らないのも一つの選択肢です。「バイトに徹底的に取り組んで、他ではできないこんな経験をつかみました」と言えるようになれば、あなたならではの強みになるかもしれません。

しかし、「学業は学生の本分です」という原則に照らして、せっかくゼミに入るチャンスがあったのに、なぜ入らなかったのかについて、あとで疑問をもたれる可能性はあります。厳しく言えば「ゼミとバイトの両立はなぜしなかったのですか?」と、就職面接で聞かれるかもしれません。あるいは、「そもそもなぜ大学に入ったのですか? そういう理由で入学したのなら、当然ゼミに入った方がよかったのではないですか?」と突っ込まれるかもしれません。「本分」とはそういうことです。いずれにしろ、ゼミ加入の判断をするには、自分の進む道を真剣に考えて選ぶ必要があります。

(2)幅広く考えて、自分の意思で決める

ゼミ選択あるいは志望理由の提出にあたって、ちょっと心の表面に浮かんだ理由を言っても、あんまり説得力は出ないと思います。ゼミは何となく決めるより、自分が本当に納得して志望した方が絶対にいい。

「こういうことに興味があるから」と、ちょっとだけ思ったことを、引き伸ばして大げさに志望理由を述べても、あんまりしっくりこないのではないでしょうか。一度表明した志望理由は、ゼミ活動中もあるいは就職活動中も自分を束縛します。しかし、「自分が何をしたいのかわからない」と、進路選択の節目ではよく悩むと思います。

また、「自分はこれをやりたいんだ」と強い意思だけが募って、なぜそう思うのか、論理的な理由を客観的に言葉で説明できないと、教授にはその思いは伝わりにくい。

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いずれにしろ、あまり思い込まず、幅広い着眼で、ゼミ選びに取り組むことが大切だと思います。

今の私だったら、教授に会いにいって、前提をおかずに色々聞きますけどね。「ゼミを聴講させてください」とか、失礼のない範囲でお願いすると思います。そのうち、相談に乗ってもらえると、いいですね。

(3)ゼミは課題に取り組む有意義な場

ゼミは、学生が自ら課題を設定して、その解決に主体的に取り組むための、有意義な場です。その活動の中で、社会で、組織に属して、課題に取り組む上での勘所や経験を蓄えることができます。

ゼミに入る、ということは、教授の指導の下、一定の組織の中で、課題に取り組む経験を積もう、とする明確な意思を発信する行為です。それは、いずれ社会人として巣立つための、重要な第一ステップであり、それ自体、一つのキャリアとしてとらえることもできます。

全てにおいて順調なキャリア形成というのは、あまり存在しないと思います。思った通りにいかなかった、人間関係をこじらせた、失敗した、ということは、どのキャリアでもいずれは起きることでしょう。そういうネガティブな経験も、成長すれば、貴重な経験に変わるはずです。成長は、過去の失敗を貴重な経験に変えることです。成長は、なんでも成功することではありません。

ゼミは、入る前は、中身がよくわからない。何をしているのかわからない。何故入らなければならないのかも、よくわからない。ポエタの学生時代は、正直その程度でした。

今思えば、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、そういうわけのわからない世界に飛び込むことに、意義があります。自分の課題は、見通しのきいた平坦な道に転がっているわけではありません。自分の本当の課題は、単に頭がよければ、見つかるものではない。未知の出来事、意外な出来事、不愉快な出来事、こうしたことを通して、ようやく見つかるものです。その心構えがあれば、ゼミ活動の経験は、決して無駄にはならないと思います。

(4)まとめ

  • ゼミ選びは、将来のキャリア形成の起点となり、その後の進路に影響を与える重要局面となる。
  • 納得のいくゼミ選びのためには、思い込みや表面的な理由で決めないために、幅広い着眼をもって考えた方がよい。
  • ゼミは教授との人間関係を軸とする組織活動であり、志望理由の提出は、対教授のコミュニケーションの始まりである。
  • 色々悩んで結論が出ないなら、人に聞いた方が得策。思い切って教授やゼミ生、院生に聞いた方が、結論が出るのは早いかもしれない。
  • ゼミ活動で直面する、問題やこみいった人間関係は、自己を照らす灯火となり、意外な所に成立している「課題」を見出すための、大切な経験となるだろう。

<編集後記>

就職活動も含めて今のうちに考えたい場合は、下の記事をどうぞ。

就職活動の軸を設定する上で就職活動の開始時期は早い方がよい理由 - 課題の教科書

就活は早くから意識した方が有利です。

ゼミ選びの段階から就活と一本の線がつながると、あなたの強みが増すと思います。

進路には悩みはつきものです。

しかし、自分で自由に考える面白さを味わうと、将来が楽しみになりますね。

ポエタ

2018年11月19日改

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