課題の教科書

Critical Realism for All Leader

クリティカル・リアリズム試論|批評文を書くための5つのコツ

ここまでクリティカル・リアリズム試論と銘打って、批評文を書いてきた。その中で、書き方のコツのようなものが、感触として掴めてきたので、5つ整理しておきたい。 

(1)書くのではなく、語る 

作文ではなく、思い浮かぶ言葉を記すことが大切である。あたかも喋ったことを、そのまま記す。生きた文体は、話しかける言葉である。間に合わせに用意した文章を置きならべると文章は死んでしまう。話す言葉は文にリズムを生み出す。 

(2)わからないことをはっきり書く 

細かいロジックを積み上げて、非の打ち所のない結論を出しても、批評としてはつまらない。それがわかってどうなのか。読んで世界の見え方が変わるような批評文にしたい。そのためには、まず何がわからないのかを、はっきり書く必要がある。はっきり書くためには、何がどうしてわからないのか、何を何のために知りたいのか、を書く必要がある。

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(3)問いを生み出す

わからないことがはっきりすると、自ずと問いが出る。問いは論理的な演算では出てこない。不意に問いが出たときに、問いかける対象にどんな課題が成立するかを吟味する。吟味するのに、論理的整理は必要になる。しかし、重要なのは、まず問いである。問いが課題を出すことができたら、その問いは、世界の重みに匹敵する量感を備える。

(4)問題を課題に転換する

問題を解くのに、答えを出せばよいのか。そうそう答えはわからない。しかし、問題を課題に転換すれば、その課題は、その主体者にとって、ひとつの重要な答えだ。例えば、「批評とは何か」という問題に取り組んで、「自ら批評作品を書くのが課題だ」と発想を転換すれば、最早あとはやるだけになる。批評の執筆に取り組めば、自分なりの批評の定義を見つける成果を狙うことができる。 

(5)今いる所から始める 

重要なのは、高みにのぼって書くことではない。今いる場所で発想することが大切だ。(1)書くのではなく、語る。(2)わからないことをはっきり書く。(3)問いを生み出す。(4)問題を課題に展開する。これらは全て、今いる場所でしかできない。遠くの理想に向けて飛び立つのではない。理想を現実に引き寄せるのでもない。今自分がいる現実の状況から、全てを始めるしかない。 

文学は、小説も、詩も、批評も、現実逃避ではない。問いを生み出し、現実を手中にするための手段だ。そのどれもが、主体は読者である。言葉が主体をつくりだすものだとしたら、言葉を生み出す営みは、比類ない価値を有していると思う。クリティカル・リアリズム(批評としての現実主義)は、そのような価値を創出したい。

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