課題の教科書

Critical Realism for All Leader

仏詩人クローデルの俳句|神秘主義|ハマーショルドの『道しるべ』に見る接点

数日前の2018年6月23日(土)の日経新聞(朝刊)の文化欄で、フランスの詩人クローデル(1868−1955)を取り上げていた。

私は、クローデルの詩作品に本格的に触れたことはない。井筒俊彦の解説文に目を通して、詩人としての特徴を一度確認してみたまでだ。わずかな知識、あるいは印象でしかないかもしれないもの、を通して語ると、クローデルは、存在をテーマに詩を書き、生々しい直覚の表現は、野人のような風格を思わせる。『神秘哲学』で、神秘主義のただならぬあり方を語った井筒は、クローデルにも同じ波長を感じ、論考の主題として取り上げたのだろうか。 

前出の新聞記事によると、クローデルは、日本の俳句に関心を寄せ、自ら句作したそうだ。一般的な俳句の説明に触れた限りでは、存在論とか神秘哲学とかいう、物々しいキーワードは、世の句論の中に見つけたことはない。クローデルが、なぜ俳句に関心を持ったかは、興味深い点ではある。 

俳句の詩としての特徴は、基本的に、有季定型にあるだろう。なぜか。それは、正直に言って私にはわからない。ただ、ずっと書きながら気になっていることを言おう。ダグ・ハマーショルド(1905-1961)という人がいた。スウェーデン人で国連事務総長を務めた人物である。この人の遺した日記は、死後出版されているが、この人物の人となり、思想的傾向がどういうものだったか、よく伝わってくる内容である。 

ハマーショルドには、その内面において、神秘主義的傾向があった。そして、やはり俳句を愛し、自ら句作した。ハマーショルドは、事務総長職に在る最中、移動中の飛行機事故によって世を去った。死後、彼のアパートから、日記が見つかり、知人に対し日記の出版への期待を述べた日付のない手紙が添えられていたという。激務に耐えながら、職務を遂行する苦悩と、それを支えた使命感が、日記の文面には溢れている。突然の死によって職務から解放された後、日記は『道しるべ』として出版された。やや神秘的とも思える経緯、詩のような最期を遂げたという気がする。 

クローデルは、フランスの外交官であった。クローデルハマーショルドは、どちらも国際的な舞台で、良心的に職務を遂行した人士として知られている。二人とも、西洋人らしく、キリスト教の信仰があったという。二人が、どこかに結んでいるであろう点は、ずっと見えないが、木の葉に見える朝露のように、儚くも美しい輝きを感じずにはいない。

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